隣のロボ学

身長168cm・体重30kgの家庭用ヒューマノイド「NEO」、1Xが20,000ドルで予約開始

ノルウェー発の米国ロボット企業1X Technologiesが、家庭用ヒューマノイドロボット「NEO」のプレオーダーを開始した。本体価格は20,000ドル、月額499ドルのサブスクリプションも選べる。OpenAIとSamsungが出資する1Xが、消費者市場へ最初に降ろした1台だ。

ノルウェー発・米国法人の 1X Technologies が、家庭用ヒューマノイドロボット NEO のプレオーダーを 2025年10月28日に開始した。本体価格は20,000ドル、月額499ドルのサブスクリプションも選べる。OpenAIとSamsungから出資を受ける同社が、産業用ではなく消費者市場へ最初に降ろした1台となる。

1X NEO 製品ビジュアル(1X 公式サイトより)

倉庫向けから家庭向けへ振り切ったNEO

1X Technologies はもともと倉庫業務向けの「EVE」など産業用ヒューマノイドを手がけてきたメーカーだ。NEO で初めて家庭向けに振り切り、リビング・キッチン・玄関といった居住空間で動くことを前提にした設計を採った。プレオーダーは200ドルのデポジットで受付され、Early Access は20,000ドル、サブスク版は月額499ドル。出荷は2026年に米国から始まり、他国展開は2027年以降になるという段取りだ。

The Robot Report の取材 によれば、家庭への投入は「Early Access」と銘打たれており、初期ユーザーの利用ログを 1X 側が学習データとして集める枠組みになっている。家庭用ヒューマノイドの量産フェーズが、研究プロトタイプの域から「実購入できる耐久消費財」へと一段降りた局面と読める。

NEO がキッチンで作業するシーン(1X 公式)

ソフトポリマーと腱駆動、22dBの動作音

NEO の本体スペックは、身長168cm、体重30kg、リフト能力68kg、運搬能力25kg。バッテリー容量は842Whで通常使用で約4時間稼働する。動作音は22dBと、現代の冷蔵庫より静かに動く水準だ。

身体は3Dラティス構造のソフトポリマーで覆われており、人とぶつかった際の衝撃を吸収する設計。駆動方式には1X独自の Tendon Drive(腱駆動)を採用し、高トルク密度モータとケーブル伝達を組み合わせて、人間の筋骨格に近い柔らかい動きを狙っている。自由度は片手だけで22 DoF、片腕に7 DoF。家庭での細かな手作業を意識した構成だ。Nvidia Jetson Thor を演算基板に積み、家庭内ネットワーク上で AI 推論を回す。

Expert Mode という名の遠隔オペレーター

家庭用ヒューマノイドの最大の論点は、自律で何ができて、何ができないのかの線引きだ。1X は今回、家事タスクのうち自律で完結するのは6〜7割で、残りは “Expert Mode” と呼ぶ遠隔の人間オペレーターが補完する設計を公にした。ドアを開ける、物を取りに行く、夜に照明を消す、皿洗い、植物への水やり——リスト自体は地味だが、家庭にやって来る NEO は「ロボット単体」ではなく「ロボット+遠隔オペレーターのチーム」として届く。

家庭にカメラとマイクを持ち込むロボットを、人間オペレーターが裏側から覗き込む構造を、ユーザーがどう受け止めるかは未知数だ。1X 自身はオプトイン制とプライバシー設定で対応するとしているが、実家のリビングを「他人の遠隔操縦の現場」にすることへの抵抗はおそらく出る。プレオーダーは「初期ユーザーの実環境を提供してください」という呼びかけと表裏一体で読める。

NEO 高齢者ユーザーとのインタラクション(1X 公式)

Figure・Apptronik・Optimus との立ち位置

家庭・消費者向けヒューマノイドの市場では、Figure AI、Apptronik、Unitree、Tesla Optimus が競合している。20,000ドルという価格設定と2026年米国出荷というスケジュールで、家庭への到着が一般消費者の購入動線に乗ったのは NEO が先行している格好だ。

ソフト素材・低騒音・軽量という方向性は、産業用ヒューマノイドの「重く・速く・力強く」とは対照的だ。家の中で家族と並んで動くことを前提に振った設計思想——これが本当に売れる耐久消費財として機能するかは、2026年の米国出荷後の事故報告とサブスク継続率を待つことになる。


出典